
査読結果が「修正・再投稿(revise and resubmit)」となることは、良いニュースです。それはジャーナルがあなたの論文を求めていることを意味します。しかし、47個もの査読者のコメントに対応するために机に向かうのは、また違った種類の課題です。回答書(response letter)の書き方は、ほとんどの研究者が独学で学んでいますが、それこそが、非常に多くの人が書き方を誤ってしまう正確な理由です。
このガイドでは、査読者のコメントに段階的に対応する方法を詳しく解説します。具体的な回答の文面の書き方(実例)、すぐに使えるテンプレート、そして査読者と意見が異なる場合の対応方法についても説明します。
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エディターが回答書で実際に重視していること
エディターは、あなたが査読にどれほど真剣に取り組んだかを示す証拠として回答書を読みます。これは単なる形式的な手続きではありません。エディターは修正された原稿と回答書を照らし合わせ、指摘された懸念事項が徹底的に対処されているか、あるいは単に受け流されているかを確認します。特に重要なのは以下の3点です。
網羅性(Completeness): すべてのコメントに対して、たとえ回答が「敬意を表しつつ、同意しかねます」であっても、漏れなく対応していること。
明瞭性(Clarity): 原稿のどこがどのように変更されたかを、正確かつ容易に追跡できること。
プロフェッショナリズム(Professionalism): 自己弁護的にならず、突っぱねるような態度をとらず、堂々巡りの議論をしないこと。
たとえ軽微なものであっても、1つでもコメントを読み飛ばしている回答書は、修正が不十分であることをエディターに印象付けてしまいます。完璧に取り組むことは譲れない条件です。 お使いのジャーナルが採用している査読プロセス(査読のタイプ)を把握しておくことも、どれほどフォーマルな回答が必要かを判断するのに役立ちます。例えば、オープンな査読プロセスでは、回答が公開記録として残る可能性があるため、より詳細な説明が求められることがあります。
回答書の構成方法
冒頭の段落(The Opening Paragraph)
プロフェッショナルとしての簡潔な謝辞から始めましょう。1つか2つの文で十分です。お決まりの定型文ではなく、誠実で具体的な表現を心がけてください。どの原稿にも当てはまるような一般的な書き出しは避けます。適切であれば、査読者の建設的な関与に言及するようにしましょう。
「エディターおよび2名の査読者の皆様の、きわめて丁寧で建設的なフィードバックに心より感謝申し上げます。以下に、各指摘事項へ詳細に回答いたしました。この対応により、原稿の質が大幅に向上したと考えております。」
「コメントと回答」の形式(The Comment-Response Format)
回答を書く前に、査読者のすべてのコメントを一言一句違わずに引用してください。決してパラフレーズ(言い換え)をしないでください。 言い換えを行うと、実際に何に対して回答しているのかが曖昧になり、エディターにはその違いがすぐに見抜かれてしまいます。
フォーマットはシンプルです。まず引用し、その直下に回答を書きます。
査読者1、コメント3:「サンプルサイズを考慮すると、考察セクションにおける知見の一般化の可能性について、過剰な表現が見られます。」
回答:「ご指摘に同意いたします。サンプルサイズに基づく一般化の主張を特定の調査対象集団に限定するため、考察(14ページ、312-318行目)の最終段落を修正いたしました。また、この制限事項に直接言及するサブセクションを新たに追加しました。」
<ProTip title="📌 リマインダー:" description="回答を作成する前に、査読者のコメントを必ず原文のまま一言一句違わずに引用してください。絶対に言い換えをしないでください。言い換えをしてしまうと、実際に何に対する回答なのかが不透明になってしまいます。" />
敬意を払いながら反対意見を述べる方法
査読者と異なる意見を持つことは完全に許容されます。自分を防御するのではなく、同僚にカウンターアーギュメント(反論)を提示するように考えてみてください。具体的かつプロフェッショナルな姿勢を崩さず、自身の見解を支持する根拠をエディターに示します。
「統計モデルの選択に関する査読者様のご懸念に感謝いたします。しかし、[具体的な理由]に基づき、当研究チームは当初のアプローチを維持することが適切であると考えます。詳細な方法論の決定理由について、8ページに脚注を追加いたしました。」
研究データや検証結果が示すように、真摯で丁寧な反論は査読プロセスにおいてごく自然なことです。エディターが確認したいのは、あなたがたとえ結論を受け入れない場合であっても、指摘に真剣に向き合ったかどうかです。論理的に組み立てられた反論は、無理に妥協して中途半端な修正を行うよりも、はるかに信頼性が高くなります。
査読者のコメントへのステップ・バイ・ステップの対応方法

以下のステップを順番に進めてください。すべてのコメントを読み終える前に焦って回答を書き始めることは、査読回答の作成において最もよくある失敗の原因です。
ステップ 1 — 何かに返信する前に、すべてに目を通す
一文字も書き始める前に、すべての査読者のコメントを最初から最後までしっかりと読みましょう。時には、査読者2のコメントを読むことで、なぜ査読者1のコメントが矛盾しているように感じられたのかが理解できる場合もあります。全体像をあらかじめ把握しておくことで、互いに衝突するような不整合な修正を行うのを防ぐことができます。また、パターンの特定にも役立ちます。2人の査読者が全く同じ明確化を求めている場合、そこは詳細に説明する価値のある箇所です。
ステップ 2 — 各コメントを分類する
回答を書く前に、すべてのコメントを3つのカテゴリーのいずれかに分類します。これにより、具体的な修正作業に取りかかる前に、必要な修正範囲を明確に把握することができます。
簡単な修正: 事実誤認の訂正、誤字脱字、迅速に対処できる軽微な仕様変更など。
大幅な修正: 新しい分析、構成の再編、あるいは多大な労力を必要とする追加データの要求など。
意見の相違: 査読者の指摘が事実と異なると思われる場合、または論文の範囲(スコープ)外の要求である場合。
ステップ 3 — 回答管理テーブルを作成する
正式な回答書を書く前に、Google ドキュメントやWordファイルなどで管理用のテーブルを作成しておくと便利です。列には「査読者番号」「コメント番号」「コメント要約」「回答案」「修正した原稿内の該当位置」を設定します。これが全体のマスタードキュメントとなり、指摘の見落としを確実に防ぐことができます。
<ProTip title="💡 プロのアドバイス:" description="正式な回答書を作成する前に、Google ドキュメントやWordファイルで一覧表を作りましょう。これがマスター管理ドキュメントとなり、うっかりコメントを見落としてしまうミスをほぼ完全になくすことができます。" />
ステップ 4 — 正確な原稿の参照先を明記して回答を書く
すべての回答において、修正が具体的にどこで行われたかをエディターに示す必要があります。「指摘に従って原稿を適切に修正しました」といった曖昧な記述は、査読者を苛立たせ、エディターを納得させることができません。常に具体的な「ページ数」と「行数」を記載してください。
「ご指摘の点につきまして、XページのY〜Z行目にある[セクション名]を修正いたしました。」
「考察(12ページ)に、...について説明する新しい段落を追加いたしました。」
「ご要望通り、図にエラーバーを追加して更新しました(現在は図3となっております)。」
<ProTip title="📝 メモ:" description="査読者から対応不可能なことを求められた場合は、その理由を明確に説明し、代替案を提示しましょう。対応の代わりに何を行ったのかを倫理的に説明する誠実な回答は、完全に沈黙してしまうよりも常に良い印象を与えます。" />
ステップ 5 — 原稿の変更履歴を記録する
査読者とエディターが何がどこで変更されたかを正確に確認できるように、変更履歴の追跡(Track Changes)を有効にした修正稿を提出します。それとは別に、変更履歴のない「クリーンな(最終の)」原稿も一緒に提出するのが一般的です。ジャーナルによってはクリーンな原稿のみを要求する場合もあるため、事前にジャーナルの投稿規定を確認してください。
査読回答書のテンプレート

このテンプレートをコピーして、ベースファイルとして保存してください。再投稿のたびにこのテンプレートを使って記入していきます。この構成はさまざまなジャーナルや学術分野で共通して使えるため、二度と白紙の状態から回答を始める必要はありません。
<ProTip title="💡 プロのアドバイス:" description="このテンプレートをベースファイルとして保存し、改訂・再投稿のたびに利用してください。どのジャーナルでもレイアウト構成は共通しているため、毎回白紙から作業を始めるストレスを減らすことができます。" />
Jenniを使って回答書を作成する方法
Jenniを使用すれば、原稿そのものの修正プロセスをスムーズに進めることができ、より強力で厳密なドラフトに基づいた回答を作成することができます。まずは内容を固め、それから表現に磨きをかけましょう。原稿の修正プロセスの段階的な進め方については、当社の「研究論文を改訂・修正する方法」ガイドをご覧ください。
ステップ 1:Jenniで修正原稿を開く 修正中の原稿をJenniのドキュメントライブラリにアップロードします。回答の作成中、直接的な変更状況を比較できるように、元のファイルも一緒に保存しておくと便利です。
ステップ 2:修正した主張が適切に裏付けられているか検証する

回答を作成する前に、追加あるいは変更した記述が本当に文献的な正当性を持っているか確証を得ましょう。対象のドキュメントを選択した状態で、AIチャットを開いて以下のプロンプトを実行します。
「修正した「考察(Discussion)」セクションに書かれている主要な主張が、すべて引用文献ソースによってサポートされているかどうかを確認してください」
ステップ 4:提出前に最後の仕上げとして「Jenni Reviews」を実行する 修正した原稿を再提出する直前に、Jenni Reviews機能による最終確認を行います。推敲によって別の課題が混入してしまうこともあるため、万全の体制で仕上げられた後にチェックを入れることで、不意の裏付けのない主張を見過ごしてしまうのを防ぎます。

よくある質問(FAQ)
査読回答書はどのくらいの長さにするべきですか?
査読への回答書は、すべてのコメントに対して徹底的に対処できる十分な長さにする必要があります。コメントの数に応じて、多くの回答書が2〜6ページ程度の長さになります。制限はありません。大切なのは、各査読回答が明確に述べられており、修正が行われた原稿内の具体的な参照箇所(ページ・行数)が示されていることです。
査読者と意見が一致しない場合はどうすればいいですか?
査読者と異なる見解を持つことは許容されるべき活動であり、時に不可欠です。コメントを一言一句を漏らさず引用し、あなたの論理的思考プロセスをわかりやすく説明したうえで、自分の主張を支える学術的な検証結果やエビデンスをエディターに示してください。真剣に議論を交わすことなく、ただ懸念を切り捨てるような対応は厳禁です。説得力を持って説明された反対意見は、エディターにとって、無理やり折れた妥協案よりもはるかに信頼されます。
査読者が提案してきたすべての変更に対応しなければなりませんか?
いいえ、提案されたすべての変更点について受け入れる(承諾する)必要はありません。ただし、すべてのコメント項目に対して何らかの明確な返答を提示しなければなりません。反映しない変更については、その理由を公正に説明し、可能であれば代替手段を提案しましょう。エディターも、査読者が時に論文の対象範囲を超えた過度な要求を求めてくるケースがあることを十分に理解しています。プロフェッショナルな形で行われる論理的な理由説明であれば、常に十分な納得材料になります。
「改訂と再投稿(revise and resubmit)」とはどのような意味ですか?
「改訂と再投稿」は、該当の学術誌(ジャーナル)があなたの書いた論文に関心を寄せているものの、正式な受理に至るには事前に特定の箇所の修正が必要であることを意味します。これは不採択(リジェクト)ではありません。エディターは、あなたが提示された課題に対して真剣に対応し、修正した原稿とともに、どのような変更を行ったのかを事細かに記した「詳細な回答書」を提出してくれることを望んでいます。
再提出時には「変更履歴の追跡」を利用するべきですか?
はい、大半の場合は履歴を残して提出します。エディターや査読者が「何が、どこで、どのように」変更されたかを容易に特定できるよう、変更履歴(校閲履歴)を保持したファイルを出力して送信してください。また、一切の履歴表示を消したクリーンなPDF/Wordファイルも同時に用意して提出します。ジャーナルによってはクリーン形式のみを求めてくるケースもあるため、まずは「投稿規定」を確認してください。
あなたの回答書は論文の一部です
しっかりとした回答書を作成することは、単なる事務手続きではありません。それは論文を受理・掲載に導くための中核プロセスそのものです。エディターは回答書を細部までしっかりと読んでいます。論文作成と同じだけの徹底した熱量を傾けてください。より具体的に、プロフェッショナルな文体を保ち、自分のフィードバックが真摯に扱われたのだと査読者がはっきり確認できるように配慮しましょう。
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回答書を送信し、論文の最終確認が行われるタイミングの仕上げ検証手段として、Jenniによる原稿レビューを進めてみてください。また、回答を作成する側ではなく、査読者側の立場としてコメントを記述するタスクがある場合は、私たちの「査読レポートの書き方」ガイドから始めるとよいでしょう。査読プロセスをスムーズに乗り切るための方法については、「査読フィードバック対応のコツ」を参考にしてください。
